じゃがいもを運んでいるりん、ああっとじゃがいもをこぼし拾い集めていると目の前に松浪先生がきて一緒に集めてあげる💗

先生・・
今日はまなかい?
はい。あっ、わたしがやります(全部集めてくれた松浪先生に)ありがとうございました
(立ち上がり)先生、わたし今日聖書の時間に校長先生にちゃんと英語でお答えできました
そう
先生、わたしこの女学校に入れて本当にえがったと思ってます
(うなずく松浪先生。今日は微笑んでおられてお優しいのですね😻)
(そのいい雰囲気を壊すごとく駆け寄ってくる梅沢先生)
梅沢:ここでしたか。松浪先生ちょっとちょっと・・・
(耳打ちをする)
あの二人が?
梅沢:夏休み前に里見なつがわたしのところに来てそのようなことを言ったことがあるんですが
どうしてそれをわたしに言ってくださらなかったんですか?
梅沢:先生はいろいろとお忙しいし、それに先生にはあまり生徒個人に関わり合ってもらいたくなかったもんですから
それは生徒個人というよりも全体に関わってくる問題じゃありませんか
梅沢:でも・・
失礼(その場を立ち去る松浪先生)
梅沢:松浪先生・・・松浪先生
礼拝所。松浪先生となつとしづ。梅沢先生もいる

そういうことは事前に相談してもらいたかった。君たちにしては少し短慮だったんじゃないか?
しづ:わたしたちの考え方が間違っているとおっしゃるんでしょうか?
間違っているとは思わない。日本人なのに日本の伝統を無視して全てをアメリカ流に教育されることに疑問を感ずるという君たちの言い分は誠にもっともだと思う。が、全て正論だとはわたしは思わない
なつ:先生・・
だったら、なぜ君たちはこの学校を選んだのか。この仙台に女学校は他にもいっぱいある。日本の伝統を重んじ、貞淑なる日本婦人を養成することを唯一の目的としている女学校が他にもちゃんとある
梅沢:そうですよ。この学校のやり方が気に入らなかったら、他の女学校へ行けばいいんです
待ってください。わたしはそういうことが言いたいのではありません
そういう女学校があるにもかかわらず、あなたたちはこの東北女学校を選んだ。その理由をもう一度しっかりと考えてほしいとそう言ってるんです
なつ:それは考えました。わたしたちはいえわたしは広い世界を知りたかったんです。日本以外の国、日本以外の文明、日本以外の言葉そういうものが知りたかったんです。文明開化と言われているこの時代の中で自分も遅れずにいろいろ外国のことを勉強して自分自身を開花させていきたい。そう思ってこの女学校を選びました
しづ:わたしもおなつさんとまったく同じ理由でこの女学校を選びました。今は毎日のように外国から新しい文明や思想が入ってくる時代です。そういうものにただ興味半分で飛びつくのではなく、それに対して正しい理解や知識を持ちたかったんです
うん・・
二人のことで緊急職員会議が開かれている
あの二人の生徒は感謝を忘れてただ批判だけをしているのではないと思います。この学校で受けた今までの教育に十分感謝をしつつ、その上になおもう一段の理想を求めてこのような建白書を書いたのだとわたしは思います
教頭:松浪先生はこの建白書について何かあの二人から相談でも受けられたのですか?
いや、そのような相談を受けていれば建白書提出などはさせず、お互いもっと納得いくまで話し合い、取り上げるべきところは取り上げ、諫めるところは諫めたでしょう。わたしはむしろ彼女たちがこのように大事なことを相談してくれなかったことに教師としてショックを受けております
梅沢:わたしには言いましたよ。里見なつが
教頭:ほお、梅沢先生に
梅沢:もちろんわたしは彼女の短慮をたしなめ、そもそもこの女学校を選んだ初心を思い起こすようにと諫めました
ミス・マーチン:おなつさんは梅沢先生は「もう少し待ちなさい」とそうおっしゃっただけだと言ってましたが
梅沢:いやそんなことはありません。それは彼女の思い違いが、偽りを申し立てているのでしょう
里見なつはそのような偽りを言うような人間ではありませんよ
梅沢:じゃあ・・じゃあ松浪先生はわたしが嘘を言ってると?
いや、そのようなことは申しておりません。わたしはただあの二人はその場限りのでたらめを言うようないい加減な人間では決してなく、非常にまじめな判断力のある生徒だということを言いたかっただけです
校長:確かにあのふたりは優秀な生徒です。わたしは二人の将来を期待していたのです
梅沢先生が松浪先生に二人のことを言うてたら、こんな事態に発展しなかったと思うんですがね(-_-)おりんのように松浪先生💗のあまり特定の生徒に近づいてほしくなかったんでしょう。この会議の結果、二人の提出した建白書は撤回されてしまったのでした。
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